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        当院のしおり「そったくの機」より

  「そつ」は、鳥の雛が孵化する時に卵の中から殻をつつくことです。
  「たく」は、母鳥が、これに応じて外から殻をつついて雛の誕生を助けることです。
  人間に置き換えると、子どもの「成長しようとする意欲や努力」と、大人の「機を得た手助
  け」が「そったく」にあたるでしょう。
  親と子、教師と子ども、上司と部下との間でこの「そつ」と「たく」のバランスが大切です。
  うっかりすると子どもを大切にするということが「たく」の過剰になったり、自主性を重んず
  るために「そつ」のみを当てにしたりしがちになります。
  このバランスを取るのは大人の大切な役割です。
  両者の意識の高まりが合った時にすべてがうまくいきます。
  この絶妙のタイミングを得ることを「そったくの機」といいます。
  子どもを育てるとか、教育するというのは、そったくの機」を的確に捉えた上で、子どもの
  自立を促す営みだと思います。
  早すぎず、遅すぎず、その機を逃さないタイミング。
  それにはこれを見逃さない目と行動力がなければなりません。
  相手がいての「そったくの機」ですから、自分の都合だけではなく、相手の動きや成長の真実
  を見抜く目を持つことが大切です。
  両者の呼応が奇蹟を呼びます。
  人は「そったくの機」に出逢ってこそ花を咲かせます。

 



              目 次


第一章 お腹の赤ちゃんを感じましょう(妊娠中のこと)  

          イ)つわり
          ロ)妊娠週数と分娩予定日
          ハ)妊娠中の過ごし方
            1.安静と身体を動かすこと
            2.体重
            3.旅行
            4.温泉
            5.パーマ・カラーリング
            6.歯科受診
            7.夫婦生活
            8.薬の服用
          ニ)外来診療のご案内
            1.完全予約制
            2.助産婦外来
            3.受診週数
            4.外来での料金案内
            5.当院での里帰り分娩について
          ホ)子どもの部屋
          ヘ)各種イベントのご案内
            1.お産教室
            2.食のクラス
            3.妊娠中のおっぱいのクラス
            4.離乳食・卒乳のクラス
            5.ベビーヒーリングタッチ
            6.マタニティビクス・アフタービクス
          ト)食生活(アトピーと環境について)

            1.「まごわやさしい」食事
            2.複合汚染
            3.「安全な食事」とは
            4.アトピー
            5.ビタミンA
            6.葉酸
          チ)着帯
          リ)入院時と育児に必要な物
            1.入院時に必要な物
            2.育児に必要な物
          ヌ)母乳育児、おっぱいの手入れについて
            1.母乳育児
            2.妊娠中のおっぱい
          ル)妊娠中のマイナートラブル
            1.お腹の張りと早産
            2.身体のだるさ、頭痛
            3.トイレについて(頻尿・便秘)
            4.腰痛・脚の付け根の痛み
            5.帯下(おりもの)
          ヲ)妊娠中の諸病
            1.貧血
            2.流産
            3.早産
            4.前置胎盤
            5.妊娠中毒症
            6.逆子
            7.前回帝王切開の経膣分娩
            8.帝王切開について
            9.その他の医療介入について
           10.当院での出産可能条件
           11.新生児搬送について


第二章 赤ちゃんの生まれてくる時(お産のこと)      

          イ)お産のはじまり
            1.入院のタイミング
            2.おしるし
            3.陣痛・時間のかかるお産
            2.破水
            3.剃毛・浣腸
          ロ)お産の時の過ごし方
            1.姿勢(フリースタイル出産)
            2.お産の姿勢
            3.お産の時の呼吸
            4.血液のついていない赤ちゃん(会陰切開について)
          ハ)赤ちゃんとの対面
            1.赤ちゃんとのご対面
            2.赤ちゃんのひとり立ち
          ニ)後産(胎盤の役目の終わり)
          ホ)生まれたばかりの赤ちゃんのこと
            1.一番目覚めている時間
            2.赤ちゃんの外での生活
          ヘ)医療行為が必要な時
            1.陣痛促進剤
            2.吸引分娩
            3.帝王切開

第三章 赤ちゃんとの恋愛テク(育児のこと)          

          赤ちゃんの生きる目的とは(愛欲について)
          イ)母乳育児
            1.母乳育児のスタート
            2.授乳の仕方(おっぱいの含ませ方)
            3.おっぱいを飲む時間
            4.いろいろな抱っこ
            5.おっぱいの張り
            6.授乳中のトラブル
            7.離乳食
            8.乳離れ(卒乳)
          ロ)沐浴
            1.赤ちゃんのお風呂
            2.ドライケア
            3.おへその消毒
          ハ)ベビーマッサージ
          ニ)おむつ
          ホ)赤ちゃんの生理的特徴
          ヘ)赤ちゃんのマイナートラブル
          ト)赤ちゃんの諸病
          チ)上の子がお兄ちゃん・お姉ちゃんになるために

第四章 産後の身体について               

          イ)動・静について
          ロ)悪露
          ハ)入浴
          チ)夫婦生活

第五章 なかむら産家での生活               

          イ)入院中の生活
          ロ)入院中のお食事
          ハ)ご家族のお食事
          ニ)ご家族のご宿泊
          ホ)子どもの部屋のご利用案内(入院中)
          ヘ)面会
          ト)料金のご案内(入院時・産後)
          チ)退院
          リ)産後健診

  はじめに                         


妊婦さんへ
 ご懐妊、誠におめでとうございます。これから楽しい妊娠生活が始まりますね。

 お腹の赤ちゃんとともにこれから10ヶ月間過ごしていくわけですが、楽しいことだけではなく、時には辛いことや不安なこともあるかもしれません。ただし、不安ばかりを感じていると我が子がお腹の中にいる貴重な時を暗く過ごすことになってしまいます。

 そんな不安を取り除き、妊娠生活が明るく楽しい時となり、お産がそしてその子の人生のスタートが素敵なものとなりますように、このHPを作成しましたのでどうぞご活用ください。
 また妊婦さんだけでなく、これからなる方、産後の方・育児真っ只中の方や、おじいちゃん・おばあちゃん等々、多くの方にご活用いただけると幸いです。

 我が子が引き起こす陣痛は、お産に対する期待や不安等、すべての思いを吹き飛ばしてしまいます。
 理性をも吹き飛ばされてしまうので、それがお母さんの本来持っている産む力を引き出してくれると同時に、愛情の源泉を掘り当てるがごとく、魂の一番深いところから涌き出る愛情を引き出してくれます。
 ですから、生まれてこようとする我が子を信じ、何も考えず、何も我慢せず、本能のおもむくまま湧き上がるすべての感情を放出してください。
 そして、一生懸命生まれてきた我が子を抱きしめ、愛情を伝えてください。


 苦しかったから、つらかったからこそ、それを乗り越えた喜びも深くなるという面もあると思います。

 お産とは心の最高の感激を感じ取る営みです。

 我が子が引き起こす陣痛に振り回されながらも、それを乗り切り、我が子を抱きしめるところからお母さんと赤ちゃんの関係が始まることは、二人にとっても家族にとっても、より活き活きとした人生のスタートになると思います。

 赤ちゃんの魂は、お母さんお父さんの魂と深く繋がり、たとえ離れ離れになっても一生涯切れることの無い絆を結ぶことになります。

 この絆をよりどころに、時には世間に翻弄されながらも、人間は健全に人生をまっとうすることができるのではないでしょうか。

 我々スタッフ一同はお母さんの産む力と赤ちゃんの生まれてこようとする力が最大限発揮されるよう、また、良い親子の絆が築けますようお手伝いいたします。

                        なかむら産家医院:スタッフ一同


  発刊に寄せて                      

 現代の私たちを取り巻く環境や暮らしは、残念ながら「自然」とはかけ離れています。
 便利なもの、速く楽に移動できる乗り物、そして簡単に調理できる食品。
 これらのものは確かに効率的で、ある意味での豊かさを私たちに提供してくれています。
 しかし一方でその便利さに慣れ、本来持っているはずの体力や持続力までもを徐々に失ってきていることも事実です。
 お産は、本来自然の営みであり、また女性だけが体験できるかけがえのないものです。
 でもそのためにはやはり、かなりの体力が必要となります。
 お産をマラソンに例えてみましょう。
 完走するためにはマラソンという競技を知り、練習をします。そのためには監督というサポーターが必要です。
 独りよがりなやり方では、効果的な練習にはならないことが多いからです。
 そして、本番に至るまでの練習は厳しいものです。

 でも、その練習の中で必要な体力や精神力が培われていきます。
 お産も一緒です。
 お産について知り、自分らしく産むためのプランを立て、その実行のために体調を整えていくのです。
 医師や助産婦はそのサポーターです。

 医師や助産婦となるべくコミュニケーションをはかり、分からないことは遠慮なく尋ねましょう。妊婦の疑問に納得のいくようにきちんと答え、不安感をやわらげることは医師や助産婦の責務でもあります。
 そのうえで自分が望むお産をイメージし、具体的にしていきましょう。
 まずは体力です。
 簡単に出来るのは歩くこと。
 一日1万歩、距離にして6〜8キロくらい、時間だと2時間くらいは歩くように心がけましょう。歩くことのメリットはとても大きいものです。
 また、妊娠はひとつのきっかけでもあります。
 これを機会に食生活も見直してみましょう。
 食べることが、身体つくりの為に必要不可欠であることを、もう一度考え直してみます。
 そしてお母さんが口にするものを、お腹の赤ちゃんも同じように栄養として身体に取り入れているのだということを、改めて認識しましょう。
 妊娠中に食事が整うと、母乳を飲ませたり、離乳食に入っても、困ることがなくなるのです。
 医師によってあるいは病院によってお産に対する考えはさまざまです。
 例えば、産後の病室です。
 「母子同室」「母子別室」にわかれます。

 「母子同室」
 産後の母と子は一つの単位であり、不可分である事は、子ども権利条約にも、その第9条に明記してあります。(子どもは、親といっしょにくらす権利をもっています。ただし、それが子どもにとってよくない場合は、はなれてくらすことも認められます。はなれてくらすときにも、会ったり連絡したりすることができます。)
 生直後から母と子を同室にする事により、赤ちゃんから発せられる様々なメッセージを感じることができます。

 泣き声やその視線に対して、母親はすばやく反応し、授乳し、オムツを替えてやり、話し掛け、そして抱っこを行います。

 するとそれに対して赤ちゃんは、早期から養育者である母親が自分に関心を向けているかどうかを敏感に感じながら発育するといわれてます。

 母親からの働きかけに対して、赤ちゃんも反応し、お互いに密接で深いコミュニケーションが育まれます。
 この母子相互作用により赤ちゃんには母親に対する愛着が育ち、母親の母性はより豊かになります。

 母と子の心理的一体感が育まれると共に、親子の絆もまた強いものに育っていきます。

 「母子別室」
 産後の一週間を、「デラックスホテル並みの豪華施設でフランス料理を食べ、赤ちゃんはベビー室に預け、母親はエステで一生の思いで作り」と言うようなみせかけのきらびやかさと、安楽さが持てはやされています。

 産後の一週間が母と子に絆つくりに必要な母性を育む時、さらには母乳の確保にとって特異的な鋭敏期とも言える大事な一週間であることを忘れて、自分の生活を満足するという人もいます。
 医療者もお産の疲れを癒すために、ということで推奨しているのも事実です。マタニティ雑誌はそのような病院を推奨しています。 これらのお産を「ブランド出産」と言う人もいます。
 別室制の施設で教えられた赤ちゃんの扱いを、最良の育児法であるかのように錯覚して、帰宅後もそのやり方をまねて育児するしかないのが実情です。

 その結果、育児不安に陥りやすくなります。赤ちゃんの扱いと母乳育児による母性が完成されないからです。
 母と子の絆がつくられないと「可愛いはずなのに愛せない」と悩む母親になってしまいます。
 「最初の一週間」こそ育児体験を持たない、核家族化する今日の妊婦さんにとっては、育児実習のゴールデンタイムでもあるわけですが、この人生の始まりにおける一瞬の手抜き、うっかりした瞬時の息抜きが、一生の悔いになります。
 多くの赤ちゃんは天国のような胎内生活を経験し、産道ではこれまで経験したことのない痛みや苦痛の試練を経て、新しい生活が始まります。

 それまでの暖かく宇宙遊泳のような楽しい世界と比べて、この未知の世界は騒がしく、まぶしく、寒く、そして重力のある、不自由な世界です。
 心ない病院では、形ばかりの母との出会いを終えると直ちに新生児室へとつれていかれます。

 突然の環境の激変です。そこでは心を慰めてくれる懐かしい母の匂いも温もりも、そしてやさしい声も聞こえてはきません。不安を訴えても誰も答えてはくれません。更に空腹を訴えても決められた時間が来るまで、その欲求は満たされません。
 加えて新生児室では、おっぱいからの直接の授乳時のように、五感を通じて行う互いの心の交流は望むべくもなく、多くの場合一定に時間を決めて、しかも哺乳瓶による「くわえのみ」で牛のお乳が与えられます。

 おしっこや排便でオムツが汚れて不快を訴えても誰も答えてくれません。どんなにメッセージを送ってもお母さんは現れてくれません。誰一人として不安や不満、そして甘えを受け入れてくれません。

 このように出生直後より赤ちゃんの生理や欲求を無視し、大人のルールを守る事を強制した扱いに、やがて赤ちゃんはメッセージを送る事をあきらめ、人との交流・・・例えそれが自分の母親であっても・・・お互いのコミュニケーションを取りやめてしまい自分の殻に閉じこもります。サイレントベビー予備軍の誕生です。

 皆さんの大切なお子さんのために、見せ掛けのきらびやかさにまどわされずに心の豊かさを、母と子の間に育まれる基本的信頼と心理的一体感と、母と子の共生生活へと向けて素晴らしい出発(たびたち)の場として施設を選んでください。
 分娩の時は、あなたもつらいけど赤ちゃんはもっとつらいのです。赤ちゃんは不安や痛みに耐えながら狭い産道を恐怖に心と体を傷めながら、あなたに会いに、初めての世界に出てくるのです。

 そのことをお産の時に考えると痛みが和らぎますのでイメージしてください。
 出てきた赤ちゃんをすぐに抱っこしてあなたの胸で癒してあげてください。
この瞬間がとても大切です。母子分離をしないで生まれたらすぐに抱かせてもらってください。
 あなたとお子さんの絆がさらに深まり母性本能が生まれます。

   主役は、産むあなたです。
   あなたと赤ちゃんを応援しています。
   あなたのからだと赤ちゃんを信じてください。
   妊娠生活を楽しみましょうね。

                       たまごママネット代表:新井 一令

 

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